学習障害のあるお子さんの教育に悩むご家庭は多いのではないでしょうか。
学校の授業についていくことが難しく、自尊心の低下や学習意欲の減退につながることもあります。しかし、適切な支援があれば、学習障害児も自分のペースで学ぶことができます。
ここでは、家庭でできる実践的な学習アプローチをご紹介します。
1. お子さんの特性を理解する
学習障害には、読み書きが苦手なディスレクシア、計算が難しいディスカルキュリア、注意力や記憶力に課題があるADHDなど、様々なタイプがあります。まずは、お子さんの特性を理解することが大切です。
お子さんの得意不得意を把握し、専門家に相談して適切な診断を受けましょう。そして、お子さんの学習スタイルを理解することが重要です。視覚的な情報処理が得意な子もいれば、聴覚的な情報の方が理解しやすい子もいます。お子さんに合った学習方法を見つけていきましょう。
2. 視覚的な教材を活用する
学習障害児の多くは、視覚的な情報処理が得意です。言葉だけでは理解が難しくても、図やイラストを使うと理解しやすくなります。
絵カードや図解を使って説明したり、動画教材やアニメーションを活用したりすることで、お子さんの理解を助けることができます。また、マインドマップを使って全体像を示すのも効果的です。情報を整理し、関連性を視覚化することで、お子さんの記憶に残りやすくなります。
3. 短い時間で集中して学ぶ
学習障害児は、長時間の学習が苦手な傾向があります。集中力が続かないと、学習内容が定着しにくくなります。
そこで、1回の学習時間を15～20分に区切り、学習の合間に小休憩を挟むことをおすすめします。また、お子さんの集中力が高い時間帯を選んで学習するのも効果的です。朝型のお子さんなら午前中に、夜型のお子さんなら夕方以降に学習時間を設定するなど、お子さんのリズムに合わせることが大切です。
4. 多感覚を使った学習を取り入れる
聴覚、視覚、触覚など、複数の感覚を使った学習は、記憶に残りやすく、理解も深まります。
例えば、音読や読み聞かせをすることで、聴覚からの情報が記憶に定着しやすくなります。また、手を動かしながら学ぶことで、触覚からの情報も加わり、より深い理解につながります。体を使ったゲームや活動を取り入れるのも、多感覚学習の一つの方法です。
5. 達成感を味わえる課題を用意する
学習障害児は、失敗経験が多いと自信をなくしがちです。小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
お子さんのレベルに合った課題を選び、達成可能な目標を立てましょう。そして、できたことをほめて自信をつけていくことが重要です。「よくがんばったね」「前よりも上手にできたね」など、具体的な言葉で褒めることで、お子さんのやる気を引き出すことができます。
6. 学習の習慣づけをする
毎日コツコツと学習を積み重ねることが、学力の向上につながります。
毎日決まった時間に学習する習慣をつけましょう。宿題や復習を習慣づけることで、学んだことの定着を図ることができます。また、家族で一緒に学ぶ時間を作るのもおすすめです。お子さんにとって、家族は心強い味方です。一緒に学ぶことで、学習へのモチベーションを高めることができるでしょう。
7. 専門家や周囲の支援を受ける
学習障害児の教育は、家族だけで抱え込まずに、専門家や周囲の協力を得ることが大切です。
学校の先生と連携し、お子さんの特性に合った指導方法を相談しましょう。また、専門の教育機関に相談することで、より専門的なアドバイスを得ることができます。学習障害児の親の会に参加するのも、情報交換や悩みの共有ができる良い機会です。同じ悩みを抱える仲間と出会うことで、心の支えにもなるでしょう。
8. 学習障害児の自尊心を高める工夫をする
学習障害児は、学習面での困難さから自尊心が低くなりがちです。自尊心を高める工夫をすることが大切です。
お子さんの得意分野を見つけ、そこで活躍できる機会を作りましょう。スポーツや芸術、音楽など、学習以外の分野で才能を発揮できるお子さんもいます。得意分野で成功体験を積み重ねることで、自信をつけることができます。また、お子さんの良いところを見つけて褒めることも重要です。「優しいね」「よく気がつくね」など、性格面での良さを認めることで、お子さんの自尊心を高めることができます。
9. 学習障害児の長所を伸ばす
学習障害児は、苦手なことに目が向きがちですが、実は多くの長所を持っています。その長所を見つけ、伸ばしていくことが大切です。
例えば、ディスレクシアのお子さんは、創造力や想像力が豊かだったり、優れた空間認識能力を持っていたりすることがあります。そうした長所を活かせる活動を取り入れることで、お子さんの可能性を広げることができます。また、ADHDのお子さんは、集中力が高い時には非常に高い能力を発揮することがあります。お子さんの「できる」に目を向け、長所を伸ばす関わり方をしていきましょう。
10. 将来を見据えた準備をする
学習障害児の教育は、目先の学力だけでなく、将来を見据えた準備が大切です。
お子さんの特性に合った進路を考え、必要な力を身につけていくことが重要です。学習面での配慮が必要な場合は、進学先に相談し、必要な支援を受けられるようにしましょう。また、社会に出てからも自分の特性を理解し、適切な配慮を求められるようにすることが大切です。そのために、自己理解を深め、自分の特性を説明できるようにしておくことが必要です。
まとめ
学習障害児の学びを支援するには、お子さん一人ひとりに合ったアプローチが必要です。まずは、お子さんの特性を理解し、得意な部分を伸ばしていくことから始めましょう。視覚的な教材の活用、短時間の集中学習、多感覚学習など、様々な工夫を取り入れることで、お子さんの学ぶ意欲を引き出すことができます。
また、お子さんの自尊心を高め、長所を伸ばしていくことも大切です。小さな成功体験を積み重ね、学習の習慣づけをしていきましょう。そして、周囲の支援を受けながら、お子さんの可能性を信じて、長期的な視点で育てていくことが重要です。
学習障害は、決して学べないわけではありません。適切な支援があれば、お子さんは自分のペースで着実に学んでいくことができるのです。将来を見据えて、お子さんの可能性を広げていける学習環境を作っていきましょう。